苦境に喘ぐウナギ

私の大好物の一つであるウナギが今、苦境に陥っている。

ウナギは卵から成魚まで育てる「完全養殖」が量産体勢に至るまで確立されていないので海から河川、湖沼まで遡上するウナギの稚魚「シラスウナギ」を河口で捕らえて養殖するのがセオリーになっている。

しかし、そのシラスウナギが3年連続で記録的不漁なのだという。

http://www.asahi.com/national/update/0305/TKY201203050191.html

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20120322-OYT1T00709.htm

「じゃあ輸入すればいいじゃん!」となるが、ところがどっこい日本だけでなくウナギの主な輸入先である台湾、中国でもウナギは減少傾向というから事態は深刻だ。

http://ceron.jp/url/www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819698E3E3E2E2E08DE3E6E2E0E0E2E3E3839FEAE2E2E2?n_cid=TW001

減少の主な原因は
1、シラスウナギの乱獲
2、「天然物」親ウナギの乱獲
3、水質汚濁
4、ダム建設、河川改修でウナギの棲家減少
などが挙げられ、メディアでは「それらの要因が複雑に絡んでいる」などと言っているが、全て要因と考えるのが妥当だ。「完全養殖技術の確立」が一般論として望まれているけれど、シラスウナギも含めて天然ウナギの保護対策を考えないと「なごやメシ」として崇められている「ひつまぶし」が「幻のメシ」になってしまうことは明白だ。

素人ながら対策を考えると
1、シラスウナギ漁獲規制
2、親ウナギ漁獲規制
3、4、水質改善と不要不急の河川工事規制

漁獲規制が一番の早道だと思うけどウナギ屋さんが商売にならないという弊害がある。そこで、ウナギに代わる新たな食材や調理法の開発をしてみてはどうだろうか。

例えば僕の地元の川魚料理屋さんでは「ナマズ丼」を出しているが、ウナギと対してさっぱりした白身でとても美味しいし胃ももたれない。ナマズなら当面、ウナギの併用品としてうってつけの食材になると思う。

ウナギ屋さんの秘伝のタレもウナギ、ナマズのみならず何かベストマッチする食材があるはずだ。それを生かすため食品会社や食物学科がある大学がウナギ屋さんと一体となって「ウナギを超える新たな食文化」を開発する。産官学のパワーが試される時だ。

河川改修の害については、東日本大震災の教訓から想定外の災害に備える必要があるので全てなしというわけにいかない。

従来からある多自然型工法をもっと改良して、「ウナギにやさしい河川改修」を謳うのも良いだろう。ウナギの生態から土木工事関係、川漁師など関係者の連携が欠かせないが、ここも産官学が一致協力できる分野となるだろう。


素人意見を書きながら思ったことはマグロもウナギも結局のところ「人間の欲望」のスパイラルによって規制を考えなければならないほど減少の一途をたどっている。私たち一人ひとりが食生活を見直し、ウナギを始め食物資源を育んでいる地球環境のことをもっともっと気を使えるようにしていかなければ「持続可能な…」は単なるお題目である。

「ウナギ減少」の記事は「ウナギ蒲焼高くなるからから財布が悲鳴」ではなく「ウナギの、そして、地球の悲鳴」と受け止めたい。